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30話 ミーシャの信頼と不安の払拭

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-08-17 07:00:10

♢ミーシャの信頼と不安の払拭

 ミーシャは目を輝かせながら、双剣を抱きしめるようにして尋ねてくる。

「……俺の近くでな? 絶対に離れるなよ。」

「はぁい♪」

 ミーシャは嬉しそうに頷いたが、その無邪気な笑顔に、ふと胸がざわつく。魔獣が怖くないのか?両親を魔獣に殺されたと聞いていた。普通なら、トラウマになっていてもおかしくないはずだ。

「……ミーシャ。魔獣が怖くないのか?」

 俺がそう尋ねると、ミーシャはにっこりと笑って答えた。

「怖かったよ。でも……ユウちゃんが倒してくれるし、守ってくれるから。だから、もう怖くないの。」

 その笑顔は、あまりにもまっすぐで、あまりにも信じきっていて──俺は、何も言えなくなった。

♢新たなパーティ編成と秘められた力

 食事を終え、討伐の準備を整えて家を出ると、俺たちは裏庭から森へと足を踏み入れた。

「そういえば……聞きそびれてたんだけど、この家って?」

 シャルが後ろから声をかけてくる。振り返りながら、俺はあっさりと答えた。

「あぁ。この家は、俺の家だよ。」

「は?えぇ?ユウくんの家なの!?」

 シャルは目を丸くして、驚いた声を上げた。(まあ、実際に登録されてるのは俺の名前らしいしな。)

「その代わり、魔獣の討伐をするっていう契約付きだけどね。」

「それで、魔獣の討伐をしてるんだ〜」

 シャルは納得したように頷いたが、ふと表情が曇る。その目元に、どこか寂しげな影が差していた。

「どうしたんだ?これから一緒に魔獣の討伐に行くんだぞ?」

 俺が問いかけると、シャルは少し照れたように視線を逸らしながら言った。

「えっと……その……私も、一緒に住んじゃダメ?」

(ん? 家の話をしただけだけど……パーティの拠点ってことでアリアとも話してたし、別に問題ないよな。ミーシャも一緒に住んでるし、部屋も余ってるし。……あ、でもアリアの許可はもらっておかないと。)

 ちらりとアリアの方を見ると、彼女は静かに頷いていた。

「別にいいけど、家事は手伝ってもらうぞ?」

「うんっ! 任せてーっ!」

 シャルの顔がぱあっと明るくなり、満面の笑みを浮かべる。その足取りも軽くなって、まるで遠足にでも向かうかのようだった。

 ……いや、これから魔獣の討伐に行くんだけどな?初めて俺たちと一緒に戦うってのに、本当に大丈夫か……?

 討伐現場に到着すると、辺りには討伐された魔物や猛獣の残骸が散らばっていた。その光景を目にした瞬間、シャルの顔がさっと青ざめ、足元がふらつくようにその場に座り込んだ。

 ……まあ、無理もない。シャルと一緒に冒険していた頃の俺は、魔力も魔法もスキルも、子どもレベルに抑えていた。余計なスキルは封印していたし、討伐数も周囲に合わせて控えめにしていた。本気の戦いなんて、彼女はまだ見たことがなかったんだ。

「ユウくん……シャルちゃん、大丈夫かなぁ……?」

 アリアが心配そうに俺の袖を引きながら、そっと尋ねてくる。

「うーん……散々“冒険者になりたい”って言ってたし、大丈夫じゃないかな。性格的に、負けず嫌いだしさ。」

 そう答えながらも、シャルの様子が気にならないわけじゃない。けれど──それとは対照的に、ミーシャはまったく動じていなかった。

 俺の隣でぴったりとくっつき、双剣を抱えたまま、にこにこと嬉しそうにしている。

「ミーシャ……くっつきすぎ。剣が抜けないって。」

「むぅ〜……“離れるな”って言ったの、ユウちゃんでしょ?だから、離れないもんっ♪」

 ……そうですか。これじゃ剣が使えないし、午後は魔法で戦うか。それに、ミーシャには双剣の使い方も教えないといけないしな。

──とはいえ、俺の双剣の知識って、前世のアニメで見たイメージだけなんだけど。

 動き回って相手を撹乱し、不意を突いて斬りつける。跳躍して、空中でくるくる回転しながら斬りかかる──そんな、スタイリッシュでかっこいい戦い方。

 ……うん、イメージは完璧だ。あとは、どう教えるかだな。

 まだ他のパーティは、結界の中で荷物を下ろしたり、装備を整えたりと、戦闘準備の真っ最中だった。俺は、ちょうどよさそうな岩を見つけて腰を下ろす。

 とりあえず──ミーシャに施した付与が、どれほどの効果を発揮しているのかを確認しておきたい。

「ミーシャ、あの木まで全力で走って、戻ってきてくれる?」

「うんっ!」

 ミーシャは何の疑いもなく、ぱっと笑顔を見せて、可愛らしく頷いた。そして──パタパタ……と軽やかな足音を響かせながら、指定した木まで駆けていき、すぐに戻ってくる。

「はいっ、行ってきたー!どう?」

 ミーシャは息も乱さず、にこにこと胸を張って報告してくる。……うん、かなり速い。速いんだけど……ちょっと物足りない。

(アニメだと、目で追えないくらいのスピードで移動してたよな……)

 うーん、と考えながら、俺は収納から魔石を取り出し、加工を始める。前回の討伐で回収しておいたミスリルの剣もあったな。それを分解・再構成して、ネックレスの形に変え、魔石を嵌め込んでいく。

──よし、完成。

(……あっ、しまった。ミーシャだけにプレゼントしたら、あとの二人が不機嫌になるよな)

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